潰瘍性大腸炎講演会@町田市保健所

潰瘍性大腸炎講演会@町田市保健所

12月8日、町田市保健所で行われた「潰瘍性大腸炎の理解と日常生活の注意について」という講演会に行ってきました。

講師の先生は北里大学東病院 消化器内科 横山薫医師です。

※内容に関して誤りがある場合はブログ筆者の聞き間違いや誤解によるところのものです。

※以下に記載される数値は、全国調査・北里大学東病院内調査などが混在しています。また、データが取られた時期も様々です。小数点以下等はブログ筆者が四捨五入しています。出典・年代・正確な数値をメモすることができなかったため、このような形となっておりますことをご了承ください。

1.潰瘍性大腸炎の疫学・診断
<患者分布>
世界のIBD患者分布:アメリカ・カナダ・ヨーロッパ・オーストラリア・南アフリカが多い。アジアでは日本、韓国。最近中国でも増加傾向。

日本国内では首都圏と大都市に集中している(罹りやすい若年層が多いため)。

<原因>
特定されていない。様々な要因が組み合わさって発症する。
遺伝はあるか?:海外では発症にかかわる遺伝子が特定されているが、日本で同遺伝子と発症の関連性を調査したところ、有意性は見られなかった。ただし、家族性発症は横山医師の担当患者だけでも5~6件ある。

2.潰瘍性大腸炎の症状
主たる症状は粘血便・下痢・腹痛。食欲が減るのは全体の15%程度。
血便は患者ほぼ全員に見られる。
下痢は炎症部位によって回数・酷さが異なる(下痢が酷いからといって、重症とは限らない)。
発熱は微熱程度で、出ない人のほうが多い。

発症部位の割合:全大腸炎:38%、左側大腸炎:27%、直腸炎:22%
重症度の割合:軽症:63%、中等症:28%、重症:3%、激症:0.3%
経過分類の割合:再燃寛解型:50%、慢性持続型:29%、初回発作型:20%

<難治性の判断>
(1)ステロイド抵抗性:ステロイドの点滴を体重1kgあたり1~1.5mg、二週間にわたって投与しても症状が安定しない
(2)ステロイド依存性:ステロイドを減らすと症状が悪化する
(3)ステロイドを使わずに治療しているが、症状が不安定

<合併症について>
腸管合併症:出血や中毒性巨大結腸症等、外科手術が必要となる
大きな問題は癌化。発症後7年目から前がん病変が現れやすい。
寛解維持できず、炎症が長く続くと癌化しやすい。
一般的な大腸がんと比べ、腸全体に同時多発的に出現し、肝臓・肺に転移しやすい。腸壁の状態が悪いと内視鏡でも発見しにくい。

腸管外合併症:血栓、皮膚疾患、関節疾患など。原発性硬化性胆管炎は日本人には少ない。
ステロイドの影響に加え、下痢でビタミンK、ビタミンDが失われてしまうため、骨粗しょう症になりやすい。食事等での補給を心がけること。

3.治療について
(1)5-ASA
治療の基本。5-ASAアレルギーは患者の1割に見られる。
ペンタサは摂取量を増やすと症状を安定させる効果が高い。副作用の発現に相関関係はないので、多く飲んでもいい。ペンタサ4000mg+注腸1000mgが効果高い(注腸は週2回程度でも効果がある)。

(2)免疫調節薬
A.イムラン・アザニン・ロイケリン
(ロイケリンはIBDへの保険適応外だが、使えるように厚労省に働きかけ中)
ステロイド依存性向け。1~2mg/kg
飲み始めてから効果が出るまで3~4ヶ月かかるが、8割くらいの患者が症状改善。9割弱の患者が脱ステロイド・減ステロイドできた。
副作用:白血球減少・肝機能悪化・膵炎など。服用後3ヶ月目くらいまでに出ることが多いので、この期間は毎週血液検査を行うことを推奨。

B.プログラフ
ステロイド抵抗性向け。重症患者に使われる。
血中濃度測定が必要なので、入院して投与される。継続使用期間は12週間まで。

C.シクロスポリン
保険適応外。A.Bが使えないときに使用される。24時間点滴で投与。

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(3)抗TNF-α抗体剤:レミケード・ヒュミラ
中等症~重症患者向け。初回・2週間後・6週間後の3回投与で寛解導入。
初回はアレルギーが出ることがあるので、入院して行われる。
その後は8週間おきに投与。過敏反応を予防するために、投与2日前から抗アレルギー剤を服用しておく。
レミケードは点滴、ヒュミラは自己注射。

(4)GCAP・LCAP
日本で始まった治療法。
GCAP:顆粒球吸着療法
LCAP:白血球除去療法

3リットル程度の血液を対外でろ過して戻す。透析に比べると量が少なく、1時間程度で終了。炎症を起こす白血球を取り除くと、炎症を起こさない白血球が作り出される。

メリット:副作用が少なく、小児や妊婦でも行える。
デメリット:効果が出るまでに6回程度かかる(週2~3回を1~2週間)。
寛解維持に保険適応されていない。活動期のみ、10回まで。

(5)外科手術
<発症から25年後の累積外科手術率>
軽症・中等症は非手術率80~90%(ほとんどしていない)。
重症は40%程度。
部位別非手術率:全大腸炎:40%、左側大腸炎:90%、直腸炎:95%


4.日常生活の注意点
治療の目的は、QOLを低下させない(下痢などで仕事や学業が妨げられる回数を減らす)、入院しない、外科手術しなくていい、癌化させない。

<再燃のきっかけ>
横山医師の感覚では、ストレスが原因で症状が悪化する患者は40%くらい(もっと多いかもしれない)。
・食生活の乱れ、飲酒(出血しやすくなる)、喫煙(薬の副作用が出やすくなる)
・多忙、疲労、ストレス
・薬の飲み忘れ、通院中断
・妊娠、出産
・風邪
・歯科治療(痛み止めや抗生剤の使用で)

薬は1日1回でもいいので、必要量をきちんと飲むこと。
UCの治療薬では食後でなければいけないものはないので、食事時間が不規則な人は時間を決めて飲むこと。

<食事>
調子がいいときは何を食べても良いが暴飲暴食しないように。
調子が悪いとき:1回の食事量が多いと腸に送られる量が多くなり、下痢しやすくなるので、回数を分けて少しずつ摂るようにするとよい。
脂質・食物繊維が再燃につながるわけではないが、腸活動を活発化させたり、繊維が腸のびらんをこすって出血することがある。

ステロイド服用中は高カロリー食がステロイド性糖尿病・高コレステロール血症を起こすことがあるので、食べすぎには要注意。

<質疑応答>
Q.直腸型の軽症と言われ、半年ほど5-ASAを服用しているが、血便がずっと続
いている。本当に軽症なのか?
A.重症度は内視鏡検査で見た腸粘膜の状態で判断されるもので、血便=重症ではない。炎症の部位によって、びらんが浅くても目で見える血便がでることもある。

Q.プレドニンの累積量はどう考えるべきか?
A.10000mgを超えると外科手術の経過が悪いと言われていたが、最近では問題ないと考えられている。


平日の夕方という時間帯だったので、参加者はシニア年齢の方が多かったです。質問なさった方の中には、25年目になる、という人もおられました。
自分はまだ5-ASAとステロイド少量しか使ったことがないので、ほかの治療法について教えてもらえたのが非常に勉強になりました。

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コメント

  1. pocotaco より:

    おはようございます。
    すごく内容の濃い勉強会でしたね。(^_-)-☆

    私も勉強になりました~。
    イムランの効き目が期待出来そう~と嬉しくなりました。

    ところで、お腹の調子はどうですか?
    休める時にゆっくりしてくださいね。

  2. corgi_corgi より:

    pocotaさん☆
    イムラン、かなり症状改善してくれるみたいですよね!
    効き目が出るまでに時間がかかるのが難点ですが、きっと数ヵ月後にはずいぶん良くなってるはず。期待できますね~。

    お腹はなんだかイマイチです。
    講習会は2時間だったので、トイレに行きやすい席を確保しました!!

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