おとなになるってたいへんだ~松田洋子『ママゴト』

ここ10年くらいで一番泣いた漫画、松田洋子『ママゴト』全3巻をまとめ買いしました。
この漫画が掲載されていた雑誌「ビーム」を定期購読しているので、全部通して読んだのですが、これは絶対手元において何度も読み返さなくっちゃ! と思ったのです。


スナック「アムール」を経営するアラフォー美人ママ、映子はまだ若い頃に赤ちゃんを亡くし、その傷から目を背けて生きてきました。そんな映子のもとに、旧友の滋子が5歳の息子タイジを強引に預けて行方をくらませてしまいます。しぶしぶ始まった映子とタイジの生活。それはたどたどしくてせつない「ママゴト」のような暮らしでした。

連載が始まったのは2010年12月号。1話目では映子ママは意地悪できつくて、とても好きになれない話だと思いました。しかし話が進むにつれ、人の悲しみや傷がわかる映子ママがいじらしくて痛々しくて可愛くて、そばで手をつないでいてあげたくなるのです。子どもを失ったときで止まっていた映子ママの時間が流れ出し、タイジと一緒に成長しなおし、年齢相応のおとなになるまでの道のり。私も子どもを持たないまま映子ママと同じくらいの歳になったので、どこか空白を埋められない感じがあります。我が事のように、映子ママの姿を見ていたのでした。

重たいテーマではありますが、あらゆるところに笑いがあって、全然暗い印象はありません。最初はどうしようもなくて呆れた登場人物みんなが愛しくなって、こんなに全員が幸せになってほしいと思わされた漫画は久しぶりでした。ほんと、映子ママのお店のグダグだな酔っ払い客も一人残らず可愛くて、ずっと幸せでありますように、と祈ってしまいます。

途中どうなるのかとハラハラしますが、最後はハッピーエンドになりますので安心してください。でもかなりドキドキします。ツイッターで作者の松田洋子さんが「ママゴトはハッピーエンドにする」とおっしゃっていたので、それだけを頼りに毎月読んでいたのでした。

心に澱のようなものが少しでも溜まっていると感じたら、ぜひ読んでください。ぜったいすっきりします!


東日本大震災がおきたあと、私はしばらく本も漫画もなにひとつ読むことができませんでした。毎月「ビーム」以外にも数冊の漫画雑誌を定期購読しているのですが、届いたまま手をつけることもできませんでした。2ヶ月ほど経ったころ、ようやく片付けようかと雑誌を手に取り、ぱらぱらめくってもどの話も頭に入ってこなかったなか、『ママゴト』だけは読むことができたのです。たぶんそれは、映子ママが痛みを分かち合ってくれたからだったと思います。気づかないうちに涙がボロボロこぼれてきて、「ビーム」の真ん中へんがぼよぼよになってしまったのでした。

こんなに泣かされて、登場人物に愛を感じたのは、西原理恵子の『ぼくんち』以来です。このときも身内に不幸があり沈んでいた気持ちに寄り添ってもらったのでした。

こうしてみると、自分は擬似家族かつ母役が苦界の聖母みたいな感じの話に弱いのかなあ。映子ママもかのこ姉ちゃんも、憧れの女性像の一つです。自分が未熟な分、大人の役割を引き受けて成長していく様子に感銘を受けるのかもしれません。本当に、どちらも大オススメです。

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